風の向くまま

風の向くまま (創元推理文庫)風の向くまま (創元推理文庫)
(2002/08)
ジル チャーチル

商品詳細を見る


 さあ、1930年代の大恐慌を舞台にしたミステリー、グレイス&フェイヴァー・シリーズのご紹介ですよ。(*´∀`*) なお、グレイス&フェイヴァーとは、このシリーズの本拠地であり、事件現場にもなるお屋敷の名前。

 主人公は、かつては富裕層にいたロバートとリリーのブルースター兄妹。二人の父親は、借金&家を抵当に入れて株にのめりこんでいたが、相場は大暴落し、投身自殺をしてしまう。……お父さん生き様がギャンブラーすぎるだろ。株やってる人間としては他山の石として身が引き締まる設定だわ…つД`)

 上流階級ライフを満喫していた兄妹は突然文無しになり、NYの安アパートで、兄は不定期にバーテンダー・ホストくずれ・ウェイターをし、妹は銀行のバックオフィスで小切手の仕分けで糊口をしのぐことに…。

 そんなどん底の暮らしを二年続けた兄妹に、田舎の屋敷に10年間住み続けること、その間は遺産に手を付けてはいけないという、仕事の無い時代にややご無体な条件付きの、一発逆転ウルトラ遺産相続の話が舞い込んできたのだ。しかし、現地に引っ越してみると、遺産を残した大叔父さんは他殺らしく、相続で利益を得るブルースター兄妹が容疑者筆頭だったのだ。二人は協力して濡れ衣を晴らすべく捜査を始め、ついでに生活費のあても探していく…。

 このようなシナリオなのだが、犯人探しより、貧乏のどん底でも明るさとユーモアを失わない兄妹、その二人を取り巻く田舎町の人たちの暮らしに、竜巻のように吸い込まれてしまう魅力があるのだ。キャラ萌え要素に見事にはまってますねそうですね。

 大恐慌を研究した本は多いものの、小説とはいえ当時の生活をリアルに描いたものは少ないので、楽しゅうございますた。作者は歴史小説家だったので、時代考証を活かした空間を作るのに長けているんでそうな。続編では退役軍人によるボーナス行進のデモを軍隊を使って排除する、大事件なんだけどこのシリーズを読むまでよく知らんかった史実をまるでその場で見てきたかのように描いているので(小説なので当然なのだがw)、お勉強にもなるお得感。

 百年に一度の金融不安の今、大恐慌下で暮らすブルースター兄妹の前向きな考え方に触れて、読後爽やかになるのも良いのではないかと。

トラックバック

コメント

コメントを残す

Secret


twitter

FC2カウンター

最近の記事

楽天