江戸商人の経済学

 江戸商人の経済学 (丸善ライブラリー)を読んでみた。(評価:星5つ。★★★★★)

 会計出納は「入るを量りて出ずるを制するの他さらに他の術数なし」。これは、誰であろう西郷隆盛が残していた言葉である。教科書にも載っている豪快な西郷のイメージとは違い、実際は経済的なセンスを持ち合わせていた事をうかがわせる。

 本書は、織田信長から明治維新までの期間の、このような経済エピソードを多数収録している。

 とりわけ記憶に残ったのは思想家の横井小楠が語った話である。引用すると、

「いまの商人は、王道を忘れている。自分の利益だけを追求して、他人に対する迷惑をかえりみない。これはいってみれば、覇道といっていい。王道というのは、仁と徳によって行う政治や経済のことだ。覇道というのは、自己の権力や利益を増大させるために、権謀術数によって行う諸々の行為のことだ」

「いま、日本には列強が迫っているが、すべて覇道の国々だ。その一番悪い例が、イギリスである。イギリスは自国の産業革命以来生産過剰になった物品を売りつけるために、アジアをマーケットにしようとした。しかし、いうことを聞かない中国にはアヘン戦争を起こして、無理矢理自国の品を買わせている。あんなやり方は王道ではない。覇道だ。いまの世界で、王道を貫けるのは日本以外ない。そうすれば、日本の国際的信用が高まり、多くの国々が日本の真似をするようになるだろう。日本は、世界の模範にならなければならない」

 これは最近の群雄割拠が始まりそうな世界情勢においても、充分通用する考えではないだろうか。中国のチベット自治区における動乱といい、日本の周りは覇道の国がひしめいている。問題は日本国内においても、政治家や官僚が自己の利益を追求し、国民に対して権謀術数を用いて政治を行っていることだ。どこかに王道を意識した政治家や官僚はいないものだろうか。

 とりあえずは、自分の普段の行動において、王道を忘れないようにしていきますかね。

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